こんにちは!
フリーランスエンジニアのかたやまです。
今回は、書籍『転職の思考法』について解説します。この本は、転職本としてはもっとも売れている本です。Amazonのレビューでも1000を超えるレビューがされており、非常に高い評価になっています。
私はフリーランスエンジニアですが、自分のキャリアを見直して、選択肢を広げる目的で読んでみました。正直、かなり面白かったです!
内容は転職する人だけでなく、これから就職する人や働いているすべての人が知っておくべき内容だと感じました。
今回は、この本をおススメする3つの理由と、特に役立ったテーマ、IT業界の可能性について私の考えを解説したいと思います。
『転職の思考法』をおススメする3つの理由
1.物語形式で話が面白い
1つ目の理由は「物語形式で話が面白い」です。本書は、物語形式が採用されています。この物語自体がかなり面白いです。
主人公は衰退する業界の大企業に勤めていて、このままでいいのだろうか?と自問自答することから始まります。特別なスキルや経験、才能がないまま30歳になったことで将来を不安に思う一方、どうしたら良いか分からず動けないという状況です。
この主人公が、「転職の思考法」を教えてくれる黒岩という男に出会うことで、考え方・人生が一変します。
このような設定です。本書を読んでいると、主人公の葛藤や悩みに共感できることが本当に多くあります。話の展開も面白く、続きが気になって一気に読んでしまいました。堅苦しく思考法を学ぶのではなく、物語の中で思考を学ぶことができるので、おススメです。
2.今の会社に残るべきか分かる
2つ目の理由は「今の会社に残るべきか分かる」です。
会社選びは、会社そのものについてあれこれ判断しがちです。ただし、本書では「マーケットバリュー」を軸に判断していきます。マーケットバリューとは、その人の市場価値のことです。「会社から見た価値」ではなく「世の中から見た価値」です。
マーケットバリューは、3つの要素で構成されています。
- 技術資本(スキル・経験)
- 人的資本(人脈)
- 業界の生産性(業界の景気)
この3つの要素が最大化される会社に身を置くことが良いという考え方です。スキル・経験は身につく?人脈は広がる?業界の景気は良い?この3つの軸で、今の会社に残るべきか判断することができます。
3.「やりたいこと探し」に振り回されなくなる
3つ目の理由は「やりたいこと探しに振り回されなくなる」です。世の中にある本には「好きな事を仕事にしろ!そうすれば全てうまくいく!」のような内容が多いです。それに比べて本書は、「特に好きなこと、得意なことがない人」に対しても、どういう風にキャリアを築いていけば良いのか、的確にアドバイスをしています。
「どうしてもやりたいことがある!」という人は全体の1%です。残り99%の人のために、やりたいことが無い自分を受け入れて、仕事を楽しむためのヒントを教えてくれます。
特に役立つテーマ
『転職の思考法』で特に役に立つと感じたテーマを紹介します。
特に役に立つと感じたのは、マーケットバリューを決める3つの要素の1つ「業界の生産性」の考え方です。
「業界の生産性」とは、業界全体で1人あたりいくら稼いでいるか?という考え方です。業界の生産性が高ければ高いほど、1人あたりの給料も高くなります。景気の良い業界かどうかと言い換えることもできますね。
一般的には、最初に就職した業界に居続けることが当たり前で、業界を変えるのはどうしても勇気が必要だと思います。私もその1人です。しかし本書では、「景気の良い業界」へ乗り移ることで、給料の恩恵だけでなく、さまざまな経験ができ、マーケットバリューを上げることができると主張します。
もう1つの転職のベストセラー本『転職と副業のかけ算 生涯年収を最大化する生き方』にも、職種(営業・開発など)は変えずに、業界を変えることで、大きく生涯年収を上げることができると書かれていて、他の業界に目を向けることも大切だなと改めて感じました。
私が所属しているIT業界自体を見直すキッカケになりました。
『転職の思考法』で考えるIT業界の可能性
『転職の思考法』を元にIT業界の可能性を考えてみました。業界の生産性が上がる理由と下がる理由をそれぞれ分析して、自分なりに結論づけてみます。
業界の生産性が上がる理由
一般的には、IT業界の生産性は今後も上がり続けると予想されています。具体的には、以下の理由が考えられます。
- エンジニア不足が世界中で叫ばれている
- 小学校でプログラミングが必修化されたため、IT×教育も盛り上がる
- 世界トップ企業のほとんどがIT業界である
- AI・ビッグデータなどの成長速度が著しい
- 新型コロナウイルスによってオンライン化が進んでいる
- IT業界の売上は右肩上がりを続けている
業界の生産性が下がる理由
業界の生産性が下がる場合は、破壊的イノベーションによって「人がいらなくなるとき」または「人が増えすぎたとき」だと思います。具体的には、以下の理由が考えられます。
- もし、今あるプログラミング開発がAIによって自動化されたら、ほとんどのエンジニアが不要になり、優秀なエンジニアしか残れない
- もし、プログラミングの開発がシンプル化されて、誰でも簡単できるようになったら、IT業界で働く人が一気に増えて、希少性が無くなる
結論
業界の生産性を考えた結果、私はこのように結論づけました。
- IT業界の生産性は今後上がっていきそう!
- ただし、破壊的イノベーションによって業界の生産性が下がったときは、すぐに業界を移動する覚悟(マインド)は持っておくべき
- または、AIなどの最新技術を追い続けて、希少な人材であり続けるように努力すべき
皆さんはどのように考えますか?
共感できなかったテーマ
個人的に共感できなかったポイントもありました。それは「これから伸びる企業へ転職する」という主張です。これから伸びるベンチャーに転職しておけば、会社が大きくなったときに、古株としていいポジションに立てるという理屈です。
この主張に対して私は「伸びる企業を見分けることが難しすぎるのでは?」と感じました。理由は2つです。1つ目は、これから伸びる企業は、投資家や専門家でも予想が難しいという点です。エンジニアの私が予想した未来が当たる保証はありません。2つ目は、これから爆発的に伸びる企業が分かれば、就職ではなく投資で成功できるという点です。転職のアドバイスとしては腑に落ちませんでした。
私は、『科学的な適職』や『仕事選びのアートとサイエンス』という仕事選びのベストセラー本も読んだのですが、どちらの本でも「伸びる業界・企業は誰にも予測できない」と結論づけていて、個人的にはそちらの意見に賛同しました。
まとめ
今回の『転職の思考法』の解説は以上です。参考になることが非常に多く、職業選びの視野を大きく広げてくれた本でした。内容が気になった方はリンクを載せておきますので、ポチッと確認してみてください。
では、また次回!